| 【 菩提者 】
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秋田家は蝦夷の棟梁である安倍氏の後裔を自称する名族で、往時は安東氏を称し津軽の十三湊を本拠に強大な勢力圏を築き「日の本将軍」とも言われました。室町時代に入ると南部家の侵攻により勢力圏は瓦解し、一族の一部が出羽国に降り再び勢力を付けて大名となりました。宍戸藩初代藩主となった秋田実季は１２歳で家督を継ぎ、家督争いでもある「湊合戦」で勝ち抜く事で一族を統一し天正１８年（１５９０）の小田原の役で豊臣秀吉に臣従する事で秋田郡、檜山郡、比内郡、豊島郡５万２千石が安堵されました。ただし実石は１５万石以上で、さらに、豊富な鉱山資源と、山林（秋田杉）を有していた事から石高以上に影響力があり、大身である南部氏や最上氏などとも渡り合っています。この頃になると古代出羽国の最高位である秋田城之介を自称し秋田氏と称するようになり新城となる湊城の築城など全盛期を迎えます。関ヶ原の戦いでは東軍に与したものの、長年対立関係にあった最上氏が出羽統一を画策し、出羽諸藩が改易になるように西軍に与したなどと徳川家に上申した為、改易の危機に晒されました。嫌疑は一応晴れたものの、宍戸藩（茨城県笠間市宍戸・藩庁：宍戸城）５万石では事実上減封に等しく不服だったとされ、それが理由なのか強制隠居の上伊勢国朝熊（三重県伊勢市朝熊町）へ蟄居となっています。改易は免れ２代俊季が跡を継ぎますが正保２年（１６４５）、三春藩５万５千石で移封になり宍戸の秋田氏支配は終焉しました。高乾院（笠間市）の創建は弘安年間（１２７８〜８７）鎌倉円覚寺２世の仏源禅師大休正念和尚を招いて開山したという古寺で、慶長７年（１６０２）に秋田実季が宍戸に入封すると秋田時代の菩提寺である湊福寺（現在は蒼龍寺に改称）から住職、本尊を移し秋田家歴代の菩提寺となりました。山号である「安日山」は先祖である安倍氏（蝦夷の棟梁）の祖を安日彦（安日王）としている為で、因みに安日彦は神話の世界で神武東征に最後まで抵抗した長髄彦の兄とされ、長髄彦が討ち取られると津軽に流されたとされ、秋田家の家系ではその安日彦→安倍氏→安東氏→秋田氏と伝えられています。寺号の「高乾院」は実季の戒名「高乾院殿隆巌梁空大居士」に因んだもので、秋田氏時代は藩主の菩提寺として境内には様々な堂宇が建立され寺運も隆盛していたそうです。秋田氏が三春藩に移封になると三春城の城下町にも秋田氏の菩提寺として高乾院（三春町）を創建しています。
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