久昌寺(常陸太田市)概要: 久昌寺は茨城県常陸太田市新宿町に境内を構えている日蓮宗の寺院です。久昌寺の創建は延宝元年(1673)、水戸藩2代主徳川光圀(徳川家康の孫)が生母谷久子の13回忌の追善供養を弔う為、一宇を設けたのが始まりとされます。
延宝5年(1677)日忠を招き寺院として開山、久子の法号「久昌院靖定大姉」から寺号を久昌寺とし、5年の歳月が費やされ七堂伽藍の大寺院が造営されています。久子は日頃から日蓮宗を信仰し水戸城の城下に日忠を招き経王寺を創建、久昌寺はその経王寺を移したとも言えます。
天和3年(1683)には日耀(中村檀林)が招かれ三昧堂檀林という今で言う学校が設立すると水戸藩の庇護もあり寺運も隆盛し最盛期には塔頭12宇、末寺8ヶ寺を擁する大寺に発展し常時数百名の学僧が学んでいました。明治時代初頭に発令された神仏分離令と廃藩置県により水戸藩が消滅すると久昌寺は庇護者を失い衰退しますが明治3年(1870)に稲木から現在地に移り末寺である蓮華寺と合併することで存続、現在に至っています。
久昌寺の寺宝は鎌倉時代に制作された日蓮書状(文永11年:1274年・縦31.0cm、横86.0cm・巻軸仕立、金欄表装)や元禄期に日乗上人によって書かれた日乗日記(13冊・1041枚・元禄4年:1691年〜元禄16年:1703年・西山荘時代の光圀の生活や当時の世間の様子などが記載されている)などがあり昭和56年(1981)に茨城県指定重要文化財に指定されています。
木彫義公面の数10面あるうちの3面(太田九蔵・前田介十郎作)が貴重な事から昭和42年(1967)常陸太田市指定有形文化財に指定されています。又、久昌寺の境内裏には徳川光圀(義公)を偲んで昭和16年(1941)に義公廟が建立されています。宗派:日蓮宗。本尊:三宝尊。
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