普門院(潮来市)概要: 普門院の創建等は判りませんが、本尊の船越地蔵菩薩は慶長4年(1252)、忍性菩薩が鹿島神宮に参拝した際、境内の霊木から地蔵菩薩像を彫刻し洲崎普門院普渡寺に祭れば国家安寧、五穀豊穣、水難避に御利益があるだろうとの神託が下りました。忍性菩薩は早速、霊木から3躯の地蔵尊像を彫刻し1躯を普門院、1躯を普渡寺、1躯を菩提寺に安置したと伝えられています。
普門院地蔵堂は天和3年(1683)に建てられた建物で、元は潮来村にあったものを水戸藩(藩庁:水戸城)2代藩主徳川光圀(水戸黄門)の指示でこの地に移築されたもので、木造平屋建て、桁行3間、梁間3間、寄棟、銅板葺、正面に唐破風の向拝が付いています。
一重屋根の割に高さがあり建物全体が朱色に塗られ欄間部分には四周、中国故事を模したと思われる精巧な彫刻が彫り込まれています。唐破風の欄間部も同様な彫刻が見られ木鼻には獅子が彫り込まれています。内部には本尊である船越地蔵菩薩が祭られています。
建築細部の様式は、室町時代末期の特色が見られ、来迎柱の裏面には朱書きで遊女70名の名前があるなど民俗的にも価値がある建物で平成5年(1993)に潮来市指定有形文化財に指定されています。山門は切妻、桟瓦葺、一間一戸、薬医門、木部朱塗り。宗派:真言宗豊山派。本尊:船越地蔵菩薩。
|