大杉神社(稲敷市)概要: 大杉神社は茨城県稲敷市阿波に鎮座している神社です。大杉神社の創建は奈良時代の景雲元年(767)勝道上人(日光山開山:二荒山神社、輪王寺)が日光を目指す途中に当地を訪れた際、住民が疫病で苦しんでいた為に大杉に病気平癒をすると不思議と快方に向かった事から霊木と悟り三輪大神(奈良県三輪)の分霊を勧請して大杉の根本に祠を建てたのが始まりと伝えられています(元々、当地には巨木な杉があり、航海上の目印として信仰の対象になっていたとも)。
以来、"あんば様"として広く信仰され、特に航海安全や悪病除けとして御利益があり関東、東北地方にある大杉神社の本社として繁栄しました。延暦年間(782〜806年)には快賢により安穏寺が開かれ、以後、大杉神社の別当寺院として祭祀を司る事になり神仏習合の形態をとりました。
平安時代末期から鎌倉時代初期には源義経に従った常陸坊海存が大杉神社に滞在し多くの奇跡を行った事から天狗信仰が広がり日本唯一・夢むすび大明神と呼ばれるようになり、仁治2年(1241)に今宮神社(京都府京都市北区紫野)から分霊(大己貴命・少彦名命)が勧請され今宮大杉大権現に改称しています。
応仁の乱(1467〜1477年)により社領が失われ衰微したものの、江戸時代に入り当時不動院に滞在していた天海大僧正が干ばつの折、大杉神社に雨乞い祈願を行い見事雨を降らした事から幕府から庇護されるようになっています。
天海大僧正は幕府の重鎮で、日光東照宮の別当寺院である日光山輪王寺の住職(貫主)に就任した事もあり安隠寺は日光山輪王寺の直兼帯寺院となっています(制度上は逢善寺の末寺)。
さらに、大杉神社は江戸城からみて北東方向に境内が位置している為、江戸城鬼門守護社として社領20石が安堵され4代将軍徳川家綱からは青銅製の大灯篭(稲敷市指定文化財)が寄進されています。明治時代初頭に発令された神仏分離令により仏式が排され、明治6年(1873)に村社に、その後、郷社、別表神社に列しています。
現在の大杉神社社殿は文化13年(1816)に再建、本殿は三間社流造、銅瓦棒葺き。拝殿は入母屋、銅瓦棒葺、平入、正面千鳥破風、唐破風向拝付、建物全体が朱色に塗られ、精巧な彫刻(島村圓鉄・磯辺儀左衛門作)は極彩色で彩られている豪華な造りで貴重な事から昭和52年(1977)に稲敷市指定有形文化財(建造物)になっています。
特殊神事である「あんば囃子」は昭和53年(1978)に「記録作成等の措置を講ずべき無形民俗文化財」に指定されています。祭神は倭大物主櫛甕玉命。配祀神は大己貴命、少彦名命。
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